JMB特典航空券のしくみ
特典航空券とは、その日の需要予測などから、一席単位で空席の調整をするため、必然的に繁盛期の空席数は少なくなってしまうものです。そしてJALにおいて現在では、国際線特典航空券PLUSというシステムが導入されました。
国際線特典航空券PLUSは座席の需要に応じて本来であれば空席として開放しない座席を、余計にマイルで支払いを行うことで、予約をすることが可能になるのです。
また、空席の調整ですが一般的に販売されている航空券と異なり、特典航空券「枠」が
あるため、たとえ、同一便・クラスを予約する場合で、有償運賃には空席があったとしても、特典航空券では満席となっていることが多いのです。
同様に、激安運賃が販売されていたとしても、必要マイル数が安いとは限らないのです。
さらに、ファーストクラスの場合、国際線特典航空券PLUSの対象外になっており、開放される座席は直前まで、1つの便に1席以下となっているらしく、その1席を確保するのは至難の業です。
そのため、ファーストクラスにおいて希望する便に空席が無い場合、キャンセル待ちを行う必要があるほか、ビジネスクラス・プレミアムエコノミー・エコノミークラスではキャンセル待ちは出来ず、需要が高いと判断されれば、高額のマイルを支払う必要があります。
確実に席が確保できるため旅行の予定が立てやすいメリットがある一方、少ないマイル数しか所持していない場合には特典航空券を利用できない可能性もあるため、一般的には「改悪」と考えた方が良さそうなシステムです。
特典航空券が取りやすい人
ファーストクラスの特典航空券の場合、航空会社のエリートステイタスの資格を持っていると(JMB ダイヤモンドなど)、少なくともキャンセル待ちにおいては有利になります。
なぜ、ファーストクラスかと言うと、ビジネスクラス以下の特典航空券の場合、国際線特典航空券PLUSの影響で利用日によって必要マイル数を調整されるシステムとなったため、キャンセル待ちが不可能になってしまったからです・・・。
話を戻すと、ダイヤモンドやサファイア会員の場合、キャンセルが出次第(座席が開放され次第)、最優先で空席に案内してくれます。つまり、ステイタスがあれば、後からキャンセル待ちで予約したとしても、キャンセル待ちの順位が高くなります。
したがって、マイルを貯める方法が主に、JALカードを用いている方の場合(通称;陸マイラー)ですと、マイルを貯めても使い道が限られてしまうため、か
なり不利になってしまいます。逆に、頻繁に搭乗している方であれば、有利に特典航空券を取ることが可能となるのです。
そのような意味ではJALカードの魅力も薄れたかもしれません。
上級会員であれば少ないマイル数で特典航空券を利用できるか?
残念ながら そのようなことはありません。
ある日の東京-->クアラルンプール線(ビジネスクラス)で必要マイル数を比較してみました。
必要マイル数は上級会員も普通会員も113,500マイル(片道)でした。
そもそも、ビジネスクラスと言えども片道113,500マイル必要って正直制度として破たんしているようにしか見えません。(前後の日程も)
特典航空券の取りやすい時期(ビジネス・ファーストクラス)
答えは2あり、
1.予約開始日の330日前に予約
2.1週間近く前に予約
という2通りの方法が主になります。
いずれも現実的では無いことは十分に理解しております・・・。
搭乗日より330日前(予約受付開
始日)に予約
まずは、ビジネスクラスを例にすると、従来より座席の取りやすかった東京=東南アジア線では効果的で、東京=欧米線では ほぼ効果がありません。(欧米線は1年前予約でも高額マイルが必要)
国際線航空券の予約開始日は、搭乗日より330日前から予約を開始することができます。特典航空券もこれに該当します。
例えば、座席数の少ないファーストクラスにおいては、大変有効的な手段で、東京=ロンドン・ニューヨーク路線でも、ほぼ空席があります。(この記事を書い
た日に調査)
ただし、少しでも前倒しをしようものなら、キャンセル待ち扱いとなっていました。
(普通運賃を支払う場合には、空席が存在していました。)
逆に、ビジネスクラスであれば、東京=各都市の路線の空席が存在する日が多く、早めの予約は有効的であると言えます。
しかし、いずれの場合もデメリットがあり、旅行において、1年前からの予約は非常にリスクが
高く、1年後の 自分がどうなっているかも分かりませんし、運休など予定が大幅に変更になる可能性が高いでしょう。
キャンセルの場合:
特典航空券は都合が悪くなった場合、キャンセルを行うことが可能です。この場合、まったく利用していない場合が条件です。キャンセル料の負担することで、
支払ったマイルを口座に戻すことが可能です。キャンセル料は3,000円を支払うか、3000マイルを支払うかの2通りの選択肢があります。
キャンセル料3,000円を支払う場合:
燃油サーチャージ等をクレジットカードで支払っている場合が多く、支払った分をクレジットカードに戻される際に、3,000円を差し引いて戻されます。
3,000マイ
ルを支払う場合:負担したマイルを口座に戻される際に、3,000マイルを減らされた形で戻ってきます。
変更の場合:
搭乗者、利用区間、利用クラスが同じ場合に限って変更が可能でした。しかしながら、国際線特典航空券PLUSを導入された際に、変更が不可になり、一度キャンセル料(3,100円)を払ったうえで再度予約を取り直す必要があります。
また、その日の空席状況での受付となるため、希望の日に空席が無く変更出来ないというリスクもありますのでご注意ください。
1週間近く前に予約
1週間前にもなると、売れ残りの座席も目立ち始めます。そのため、以前なら出発日ギ
リギリで予約をした場合、特典航空券でも座席が取りやすくなる傾向です。
しかし現在は、マイル数を自由自在に設定できることから、直前予約であっても高額マイルが必要な日が多くなっています。そりゃ、有償客で満席に近い状態であれば空席になるリスクがあっても、直前に有償で搭乗する可能性に賭けるでしょう。
したがって、基本的にはあまりメリットの無い手段ですが、唯一国際線特典航空券PLUS対象外であるファーストクラスでは有効な手段になります。
なお、近ごろJALファーストクラスに関しては、8席のうち8席埋まっていることが多々あり、1週間前の予約の場合には、席が取れないリスクはより一層大
きくなるでしょう。
JALの特典航空券の活用法を今後どう考えるか?
正直に申し上げれば、国際線特典航空券PLUSは改悪としか考えられないシステムで、多頻度ユーザーも含めて馬鹿にしている印象が否めません。東京=東南アジア線のビジネスクラスを特典航空券で予約をしようとした際に片道10万マイル以上支払うって あり得ません。
なぜ、マイルによる特典航空券が不便なシステムになったか?
このようなシステムになったのも納得で、2017年11月に予約システムが刷新されました。従来の料金の変動は過去実績や「人」の勘によるもので、実際の需要とかけ離れた料金設定をされることも ありました。
しかし、新しいシステムはAI(人工知能)で自動的に運賃を決めることから、需要が見込まれる日には高い運賃を、閑散日には安い運賃を細かく設定することで、大きく搭乗率を上げることが出来たのです。
航空会社とすれば、当然お金を払ってくれる顧客が一番大事であるため、AIが満席に近い搭乗率を予測すれば、マイレージ利用者は悪い言い方ですが締め出されるのです。
また、B787の台頭で機体のダウンサイジングも要因になるでしょう。当然、A350-1000が欧米路線に飛ぶようになれば、より一層特典航空券でビジネスクラスは取りづらくなるでしょう。
アップグレード特典は従来通り
アップグレードとは、マイルを用いれば購入したクラスよりもワンランク上のクラスに着席可能なサービスで、エコノミークラスのチケットを所持していればプ
レミアムエコノミーまたはビジネスクラス、ビジネスクラスのチケットを所持していればファーストクラスにアップグレードが可能です。
ほぼ無料で飛行機に搭乗出来る特典航空券は利用しづらいものに
なった一方で、アップグレード特典は従来通りの扱いになるため、費用は発生し、格安運賃で利用できないというデメリットはありますが、キャンセル待ちは出
来ますし、需要予測に応じて必要マイル数が変動することは ありません。
当然、JMBダイヤモンドやサファイア会員の場合には、キャンセル待ちにおいて一般会員に対して割り込みが出来るため、より一層アップグレードのチャンスは広がります。
一般会員の場合には当然不利にはなりますが、よほどの繁盛期でない限り東南アジアにおいてビジネスクラスへのアップグレードは有利になります。
アップグレードの特典の場合、航空運賃は高くなる一方、海外発券の場合には安くかつアップグレードが出来る路線が多くあります。海外発券については別の機会に紹介するとして、頻繁に(自費)で海外に行かれる場合には、検討の価値は十分にあるでしょう。
とにかく使いづらくなったJAL特典航空券ですが、今後は少しでも使いやすい方法を考えてまいります。
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